(2)おけいの墓

2006年5月28日号

最初に渡米した日本人

 

(写真)アメリカ大陸に残る最初の日本人女性のお墓,北カリフォルニアのゴールドヒルの『おけいの墓』

写真撮影:田中静香さん

 

 日本がほとんどの国との行き来を禁止していた江戸時代、初めてアメリカに渡った日本人として正式に記録されているのは土佐藩の漁師の子:万次郎です。 万次郎は14歳の初めての漁で遭難し、無人島で死にそうなところを米国の捕鯨船に助けられました。船長の故郷マサチューセッツ州にわたり、 英語や航海術などを学んだ万次郎はジョン・マンとよばれました。ゴールドラッシュのサンフランシスコで日本にもどる資金をためた万次郎は、日米最初の通商条約締結に貢献しました。

 1860年の遣米使節団に同行した咸臨丸の3人の水夫の墓がサンフランシスコにありますが、日本からの移民女性の墓石として米国で一番古いのは「おけい」のお墓です。明治初期の戊辰戦争で敗れた会津藩から渡米した「若松コロニー」の一人として、おけいは17歳で渡米しました。 女性移民第一号ですが正式移民ではなく、19歳で亡くなったおけいの人生についてくわしいことは分かっていません。 1916年に地元の日系新聞記者に発見されるまで、墓の存在すら忘れ去られていました。

 

 今の日本には英語を学ぶ機会がたくさんありますが、わずか140年前の日本人にとって英語は「理解できない言葉」でした。 

 少女おけいの耳に英語は鬼の叫び声のように聞こえたのかもしれませんね。 おけいさんは今も北カリフォルニア州エルドラド郡ゴールドヒルに一人で眠っています。

 

アメリカ人になった最初の日本人:ジョセフ彦(日本で新聞を始めた人)については、ここをクリックしてご覧ください。